VRと身体性

VRと身体性

VRの特徴は立体視(3D)に限らず、身体性も重要な要素になります。身体性を担保するためにHMDかぶったりコントローラを持ったりしてVRを体験します。

例えば、車で走っている映像だけ見る(視覚だけで移動を認識)だけでは気持ち悪くなることがあります。これは脳のなかで「視覚では動いているのに、三半規管は動いていないぞ?おかしい!」となって気持ち悪くなります。これがVR酔いの原因となります。

人間のバランス感覚(移動感覚)は三半規管だけではなく、筋肉の動きも影響します。

一般的なVRシステムによるVR空間の移動は移動先を指定して瞬間移動する方法やジョイスティックによる移動が用いられます。前者ではVRの酔いはなく移動できますがゲーム的な移動になるので違和感があります。後者はVR良いが生じます。

これらの問題を解決する方法として、身体を動かして移動する方法があります。例えば、スリッパにセンサを取り付けて足踏みで移動する方法や、縦横移動できるトレッドミルがあります。

しかし、新たなデバイスを準備しなくてもOclus RiftVIVEに付属のコントローラを用いた方法があります。コントローラを手に持ってその歩くときと同じ様に振るだけで違和感なくVR空間を移動できます[1]。

実空間での歩行時は筋肉や腱を動かすことによって運動を感じ,体性感覚と視覚情報を統合して移動に関する運動感覚を得ています。手を振ることで少しでも体で感じる情報がある方がユーザは視覚情報と移動感覚を統合出来るようになり違和感も小さくなります。つまりジョイスティックで移動したときより手を動かして移動した方がVR酔を抑えてVR空間を移動出来るようになります。

みやこ360」ではスマホに全天球画像を表示させてVR空間を体験できます。スマホの画面でVRモードのボタンをクリックしスマホを縦にしたまま動かせば周りを見渡すことができます。体を動かさずVR空間を指先のジョイスティックで移動するよりも、体を動かしてあたりを見渡す行為がVR酔の低減に寄与していると考えます。

[1] 久木元伸如,"手の振りをインタフェースとした仮想空間の移動",一般社団法人 映像情報メディア学会,映像情報メディア学会技術報告 Vol.23, pp.11-14,1999